こんにちは、鉄火巻です。
Zenコアが搭載された低価格APU「Athlon APU」がAMDより発表されました。
AMDが低価格帯CPUで巻き返すことはできるのでしょうか?
リークや発表から判明した詳細スペックと、ベンチを見ていきましょう。
[注意!]現在、一部マザーボードにて、映像端子の一部が使用不可能になる例が報告されているようです。
下記のAsrock社のA320M-HDVでは、DVI端子が使用不可(BIOSバージョン:P4.80)になってしまうようです。
製品により使用不可になる端子も異なるので是非確認の上、ご購入ください。
詳細: https://www.ask-corp.jp/supports/amp/amd-athlon-200ge-cpu-video-output.html
[目次]
概要
2018年9月6日にAMDより、「Athlon APU」の発売が発表されました。
今回発表された「Athlon APU」は「Zen」コアと「Vega」グラフィックス・アーキテクチャを搭載したAPUになります。
公式サイトなど
Athlon 200GEが公式サイトに載っていました。
デスクトップ用AMD Athlon™およびAMD Aシリーズ・プロセッサー | AMD
また、公式発表のページも追加しておきます。
詳細スペック
リーク、発表内容を合算したもの。
おおよそ判明している情報はフルで情報が入っているかと。
Athlon 200GE | |
Zen アーキテクチャー世代 | Raven Ridge(第2世代) |
製造プロセス | 14nm |
ソケット | AM4 |
コア数/スレッド数 | 2/4 |
ベースクロック | 3.2GHz |
ブースト最大クロック | 不明 なし(3.2GHz) |
L1 Data キャッシュ | 64kB(32kB*2) |
L1 Inst.キャッシュ | 128kB(64kB*2) |
L2キャッシュ | 1MB(512kB*2) |
L3キャッシュ | 4MB |
iGPU | Radeon(Vega)×3基 |
GPU最大クロック | 1000MHz |
メモリサポート | DDR4-2933 |
TDP | 35W |
価格 | $55 |
やはり目を引くのはこのAPUの本質である第2世代Zenアーキテクチャ搭載かつ、Vega搭載のあたりですね。
この辺はベンチで見ていきましょう。
また、TDPがかなり抑えられています。
35Wってシステム全体で白熱電球以下に抑えられそうだね。
あとは値段でしょうか。
他のZenアーキテクチャ搭載CPUと比べて露骨に値段が抑えられています。
追記
ホームページでスペックが公開されています。
おおよそ、リーク通りでしたね。
[ソース]
https://www.4gamer.net/games/300/G030061/20180905032/
公式ベンチ
発表での比較対象のCPUはIntelのPentiumG4560 となっています。
色々とベンチの結果が示されているのでひとつづつ見ていきましょう。
GPU性能、CPU性能、ワッパの概要
言いたいことはG4560と比べてCPU性能はほぼ同等、グラフィック性能を加味すれば1.6~1.7倍くらいしているってことでしょう。
Vega搭載がゴリゴリに効いていますな。
あと、ワッパがG4560の倍です。
この辺りはZenアーキテクチャの恩恵などもあるでしょう。
Vega自体はそこまでワッパはよくないと聞きますので、Vegaが3基に削減されたのはワッパを考慮してのことなんでしょうか?
このワッパ部分はTDPからも読み取れます。
性能がほぼ同等、かつ、TDPは「200GE」が35W、「G4560」が58Wなのでそもそもの消費電力の基準が違います。
ノートPC搭載CPUのレベルまでTDPが下がっていますね。
ベンチ一覧(CPU性能など)
その他性能比較です。
明らかに言えることは、以前からあるAPUの「AMD A6-9500E」の2倍の性能になっている点です。
明確にAMD側の低価格CPUの性能が上昇していることが分かります。
ただし、G4560との比較ではいまいちパッとしません。
システム面で有利なことと、Blenderが使いやすいことはわかりますが、それ以外は若干劣るもしくはほぼ同程度なので、CPU性能のみに注目した場合、G4560→200GEの乗り換えはほぼ無意味でしょう。
内臓GPU性能
ゲーム性能についても比較があります。
これはG4560と比べて明らかな性能差があります。
いわゆるeスポーツ的なタイトルにおいて、HD画質でおおよそ60fpsを出せています。
これは「9500E」はもちろん、Intel側の「G4560」に対してもかなりの性能差を見せつけることが出来ています。
[追記]
公式サイトでもeスポーツについてHDでプレイ可能という部分を売りポイントにしているようです。
“最も人気の高いesportsゲームのHD 720pでのプレイが可能”
デスクトップ用AMD Athlon™およびAMD Aシリーズ・プロセッサー | AMD
内臓GPUを使わないゲーム性能
こっちはベンチのあたりから察することもできますが、すべて「G4560」に負けたという結果です。
また、さすがにGPU性能が優先されるゲームプレイでは「9500E」とも大差ありません。
少なくとも、グラボを積んだ場合でも「G4560」と同程度のボトルネックと考えてよいでしょう。
ベンチマークの値(2018/09/15追記)
公式発表の脚注にベンチマークの値が書かれていました。
以下はその値を書いただけのものです。
Cinebench R15 nT
(マルチプロセッシング性能) |
PCMark10 Extended
(システム性能) |
3DMark11パフォーマンス
(グラフィックス性能) |
|
Athlon Pro 200GE | 357 | 2547 | 2039 |
Pentium G4560 | 368 | 2143 | 1222 |
ベンチマーク時の構成
CPU | Athlon Pro 200GE | Pentium G4560 |
マザーボード | MSI B450 Tomahawk | MSI B250 GAMING M3 |
メモリ | 16GB(DDR4-2666, デュアルチャネル) | 〃 |
グラフィックス | Radeon Vega 3 | Intel HD Graphics 610 |
グラフィックスドライバ | AMD Software version 18.7.1 | 24.20.100.6194 |
OS | Windows 10 Pro | 〃 |
SSD | Samsung 850 PRO 512GB | 〃 |
AMD Athlon PRO 200GE?
PROシリーズはビジネス向けモデルだそうです。
上記公式発表のサイトには特に違いがみられませんでした。
非公式ベンチ
海外ではすでにベンチマークが行われています。
Passmarkスコア
ちなみに、比較対象の「G4560」のPassmarkのスコアは4879です。
なので、「200GE」もおおよそ4500~5000になるでしょう。
これはそもそも結構高い方になります。
比較としては現行のノートPCのi3~i5の辺りなので、ノートPCと比べると超格安でミドルレンジのスペックが手に入ることになります。
しかも前述のゲーム性能も考慮すればかなりバランスが良いと言えるかもしれません。
[追記]
Athlon 200GEのPassmarkのスコアも公開されていました。
Passmarkでは 5261と、比較対象のG4560より高いスコアとして設定されています。
おそらく、グラフィクス性能も含まれているので、この部分が差をつけているのでしょう。
参考としては「Pentium G5400」のスコアは5249です。
Passmark的にはG5400とほぼ同等という評価のようですね。
G5400の方が純粋なCPU性能は高いので、この辺りが不利ではあります。
最安で組むとしたら?
「Athlon 200GE」のソケットがリークでAM4とわかっているので、AM4でほぼ最安構成でパーツをそろえてみましょう。
値段によってはゲーム機として安く導入できる期待が持てます。
ゲーム機並みに安くなればいいね。
おおよその値段は、
CPU (Athlon 200GE) | $55 (約6,105.61 円 -9/7 19:39 UTC) |
メモリ (PATRIOT PVE44G213C4GY PC4-17000 4GB) | 4,750円 |
マザボ
(ASRock A320M) ASRock A320M-HDV |
4,980円 |
ケース+電源 (サイズ OSIRIS2) | 5,832円 |
SSD (Kingston 120GB SA400S37/120G) | 3,500円 |
計 | 約24,000円約26,000円 |
[2018/0915追記]コメントの指摘の通りASRock A320Mは映像端子がないのでこの構成では利用できませんでした。訂正してお詫び申し上げます。
合計およそ2万6千円!!
安いね。PS4やswitchより安いね。
ゲームタイトルによってはゲーム機より200GE搭載機の方がいいだろうね。
OSは…頑張って確保してくれ。
OSが余ってたらゲーム機よりも汎用性があっていいと思うね。
まあ、みんな口を揃えてデスクトップはでかいっていうけどね…。
その他予想情報
ちなみに、比較に使われたG4560ですが、最新世代ではありません。
以前調べたときの記事ですが、G5400と本来は比較すべきでしょう。
若干の差異とはいえG5400vsG4560で5%くらいの性能差があるので、vsG5400でAthlon 200GEが10%ほど性能が落ちる可能性もありますね。
なので、純粋なCPU性能に関しては以前、Intel側が有利です。
あと、Pentium側も第7世代からPentiumも2コア4スレッドです。
このことを考えると、他のZenアーキテクチャ採用のCPUの持っていたアドバンテージであるスレッド数も特に強みではありません。
もともとIntel側の方がシングルスレッド性能は高かったしね。
消費電力
とはいえ、売りの一つとしてワッパが倍になっているので、消費電力的な観点からはG5400にも十分に太刀打ちできるでしょう。
それこそ、YouTubeなどを見る程度であれば、家電的な立ち位置としてはAthlon200GEの方が有利になります。
日常的な利用にはAthlon200GEの方がいいかもしれません。
[追記]
消費電力についてもベンチマークが取られています。
アイドル時:25W
最大消費電力:67W
[ソース]https://www.techspot.com/review/1698-amd-athlon-200ge/
デスクトップPCなのにかなり低消費電力ですね。
まあまあのスペックですがこれならご家庭でも消費電力を(そこまで)気にせず使用できそうですね。
グラフィックス性能
また、Athlon 200GEはIntel側に内臓GPU性能でかなり対抗できます。
なので、上記ベンチ結果にもありましたが、HD画質のゲームプレイに対しては60fpsを超えていることは十分に実用的な範囲です。
安価なゲーム機としても導入しやすいでしょう。
ゲームプレイ
Athlon 200GEの内臓GPUでゲームをプレイしている方(TechEpiphanyさん)がいらっしゃいましたので、主要なゲームを張っておきます。
PUBG
HD画質でおおよそ30FPS前後といったところでしょうか。
最低限はプレイできそうです。
Fortnite: Battle Royale
HD画質なら60FPSはでています。FHDにしても30FPS前後は出るようです。
GTAV
HDで60FPS前後、FHDもで40FPS位出ますね。
長くなりそうなのでこの辺りで。
気になる人はTechEpiphanyさんの再生リストを見てみてください。
また、「Athlon 200GE Vega 3 」で検索すると、目当てのタイトルでプレイしている人が見つかるかもしれません。
以上。
今回は発表とリークの情報を合わせて「Athlon 200GE」の性能がどれくらいかを予想(?妄想?)しました。
前情報通りであればPCゲームの入門機に最適といえるでしょう。
かなりおすすめになるかもね。
技術の進歩は偉大だわ。
というか、低価格+全方向へのノーマル性能+高ワッパを考えると、低価格PC界を蹂躙(?)することは出来るかもしれません。
まあ、個人的な予想ですが…
それでは、鉄火巻でした。
A320Mはディスプレイ出力が無いからAPUでは使えないよ
ありがとうございます。確認不足でした。
A320M-HDVとかB350ET2であれば価格も同じくらいですし、ディスプレイ端子もあるのでそちらであれば使うことが出来ると思います。